買取実績
東京都文京区にお住いの方からお譲り頂いた茶壺です。
茶壺は本来、茶葉の貯蔵や運搬に使われていた壺です。そのためこのお品以外にも、金属や木といった素材で作られた実用品もあります。
他の茶道具と同じように、茶の席で使われる品は次第に骨董品としての人気や価値が高まっていきました。有名な作り手が手がけた品であればなおさらです。この茶壺もそんなお品でした。作者は人間国宝、松井康成(まついこうせい)になります。
残念なことに、松井康成は2003年に亡くなりました。ただ彼の歩みを知ると、なかなかユニークです。明治大学で文学を学びながら、大正大学では仏教を。卒業後は茨城県笠間市のお寺に入り、お坊さんとなります。
しばらくしてその寺の住職になると、今度は境内に窯をこしらえます。そこからは陶芸の製作・研究に没頭していきました。
その製作活動や研究から生まれたのが、彼の代名詞にもなっている技法、「練上手(ねりあげで)」です。
練上手とは、性質の異なる粘土を、まるでお菓子のミルフィーユのように何層にも重ね、その後成形して焼き上げる陶磁器製作の技法です。完成時には、土の層が見事な模様として描かれます。桃色、青色、緑色など色鮮やかな粘土層が特徴的で、土星の輪のようなデザインの品が多く見られます。
しかし、このお品を見ると、ほとんどそういった層は見られません。逆に、釉薬の優しい艶感が印象的で、シンプルで落ち着いた雰囲気が伝わってきます。
練上手の人間国宝である松井康成の品としては、希少だと言えるでしょう。もちろんお品のお写真を見てもわかるとおり、松井康成の銘は壺、共箱両方に刻まれております。
高さ約15センチメートルとコンパクトなサイズですので、インテリアとして、大抵の場所に置けるのも魅力ではないでしょうか。
お客様がお住いの文京区は、江戸時代の頃から学問が盛んだった地域で、「文京」という言葉は「文教の府」に由来するそうです。実際、江戸時代に幕府の最高学府である昌平坂学問所が、区内にある湯島聖堂に開かれました。そして現在は東京大学を筆頭に有名私立中・高がたくさんあります。大学進学率も23区内トップ。お客様のお宅も、まさにそんな文京区らしい“学”を感じる佇まいで、シンプルな茶壺がとても似合う空間でした。当店では人間国宝のお品物を高価買取中です。お手放しをご検討の際はぜひこちらの査定フォームこちらの査定フォームかお電話でご連絡下さい。