買取実績
今回の買取実績は、東京都足立区のお客様からお譲り頂いた孝雅作、棗(茶道具)です。
茶道具を収集されていたおじい様がお亡くなりになり、コレクションの整理を生前からしてはいたものの、おじい様にとっても、ご家族にとっても手放すことに悩まれるお品が多かったそうです。
ですが、保管方法や価値等を生前から聞いてはいたものの、家族では管理しきれないとのことで、今回当店にお電話を下さいました。
こちらのお品には蓋の裏に銀粉で月、本体の表面には凸の表現でススキが配されています。
このことから、季節は秋と推察できるため、蓋の甲(上部)の鳥は雁(がん、かり)であると言えるそうです。
その理由の一つとして、この月と雁は古くから和歌に詠まれていることが挙げられます。
「白雲に羽うちかはし飛ぶ雁の数さへ見ゆる秋の夜の月」(古今集:作者不明)
(はるか上空を飛ぶ雁でさえも見える程、秋の夜の月がそらを明るく照らしている)
こちらが、月と雁を題材にして、秋の情景を歌った和歌です。
この和歌の情景は、今回のお品の情景にも当てはまるのではないでしょうか。
また、歌川広重も「月と雁」という浮世絵を残しています。
古くから秋の夜の枕詞として、なくてはならない組み合わせのようですね。
こちらのお品は今回3000円で買取させて頂きました。
未使用ということもあり美品で、表面の蒔絵の状態も傷やスレも無く、大変良好でした。
こちらのお品は、合口(あいくち:蓋が本体と合わさる面の名称)とそれに接する面に、金の蒔絵の縁取りが施されています。
蓋を開け閉めする際に傷がつきやすい合口にも蒔絵のスレ等なく、大変良い状態でお譲り頂きました。
また、共箱と共にお譲り頂いたため、お品物の名称と作者の名前が分かり、スムーズに査定を進めることができました。
このように、良好な状態で保管しておくための注意点を簡単にご紹介させて頂きます。
箱に入れて保存する場合にも、湿気には十分に注意して下さい。
塗もの(漆器)は湿気や水気に弱く、カビや、長時間水にぬれた状態だと、時には割れが起こってしまうこともあります。
棗は水物を入れる用途ではありませんが、お茶の粒が内部に残っているとカビの原因になってしまいます。
こちらの棗の場合は未使用とのことでしたが、使用された場合にはお茶を完全に払って、柔らかい布で拭き取ってください。
また、茶道具は工芸の中でも特に、小さな形の中に技術が凝縮されていて、目に見える場所に飾っておきたくなりますよね。
お部屋に飾られる場合には、直射日光の当たらない日陰を選んでくださいね。
最後に、今回のお品は古い物ではなく、現代のものになります。
お客様のお声の中にも、「現代の物なのか、骨董品かによって、売却する所が変わってきてしまい、年代等を調べている間に整理もなんだかおっくうになってしまった…」と言ったものがあります。
当店はアンティーク・骨董の買取をメインにしていますが、条件によっては現代の物も買取させて頂くことができます。
・他のお品と一緒に査定する場合(今回のケースで言えば、茶道具の他にも火鉢や陶磁器類、軸などと一緒に買取をさせて頂きました。)。
・また、現代のお品であっても共箱等から、作者名が分かっている場合です。
整理や片づけの際には、ぜひ、処分される前にご連絡ください。
今回のケースのように、出張買取依頼をした時点でも、お品の価値が不明なケースは多くあると思います。買取に至らない場合にも料金はかかりません。お悩みのお客様がいらっしゃいましたら、こちらの査定フォームこちらの査定フォームよりお問い合わせくださいませ。