買取実績
今回の買取実績は人間国宝、島岡達三の急須と湯呑6点のセットです。
栃木県にお住まいの益子焼を収集しているお客様からお譲り頂きました。
未使用のため美品で、湯呑の数も揃っていました。
島岡達三は、縄文象嵌と呼ばれる技法で国から人間国宝に認定されている、益子を代表する作家のひとりです。
栃木県益子町といえば、今はやきものの里として有名ですよね。
益子焼は、以前も当社で陶芸家 ゲルト・クナッパーのビールジョッキを買取り、ご紹介しました。
島岡達三は、このゲルト・クナッパーの師にあたります。
益子焼は元々、日用品を主にする焼き物でした。
そのためか、以前紹介したゲルト・クナッパーの作品も、今回の島岡達三の作品も、形や色が素朴で、優しい表情をしていますよね。
こちらの湯呑は、縁になるにつれて広がって行く形をしています。
口当たりよく、飲みやすくするための工夫です。
というのも、島岡は民芸運動の祖である柳宗悦の「〜中略〜『用』に徹したものを作れば、美しく良い物が出来る」という民芸論に鼓舞された、と言われています。
このことからも、作家として独創性のあるものを追求していく反面、用に根差したものづくりが島岡の創作の原点であったことが分かりますよね。
今回のお品とは技法が異なりますが、島岡は「縄文象嵌」という技法を生み出し、創作の裾野を広げていきました。
?島岡は、この縄文象嵌で今回のお品とは趣の異なる独創的な作品も制作しています。「縄文象嵌」の作品も、こちらでぜひご紹介したいと思っています。
湯呑の高台で、急須のふたの裏や、机と接している部分が本来の土の色です。
こちらのお品は、この素地の上に、「白化粧土」と呼ばれる粘り気のある泥状の土を刷毛で塗り、刷毛目模様をつけています。
刷毛目によってできた細かい線が躍動感を感じさせるお品です。
決して派手な色や装飾ではありませんが、白い化粧土と、オレンジの土が重なって桜色になっている部分等、様々な色が楽しめる点も魅力的です。
刷毛目をわざと残しているため、白い化粧部分を触ってみると、刷毛目の凹凸を感じることが出来ます。
内側にもしっかりと刷毛目の模様が施されていますね。
また、一点、一点に名が刻印されています。
島岡は登り窯で制作を行っていました。
電気やガスの窯と異なり、登り窯内は灰や不純物が飛び交います。
それが器に付着して独特の表情をもたらすのですが、その一点一点の異なる表情から、登り窯で焼いたやきもののファンになる人も多いそうですよ。
陶器は磁器等に比べ、臭いが染み込み易い素材です。
保管する際は、臭いの強いものの隣は避ける、カビの繁殖を防ぐためにも時々箱や薄紙から出して、湿気をとる事をおすすめします。
数が完全に揃っていない物も査定の対象になります。ぜひお気軽にご相談下さい。
ここで急須に関しての豆知識です。
急須の取っ手を下にして、床に立ててみて下さい。
これで自立する急須は、全体のバランスの良いものとされ、職人の間でも、良品の目安にされているそうですよ。
お家にある急須はどうか、試してみて下さいね。
今回は、栃木県にお住まいのお客様ということもあり、益子焼きを中心に茶碗や壺などもお譲り頂きました。息子夫婦との同居に伴い所持品の整理をはじめた所、同じような急須と湯呑のセットが何点かあり、未使用のものも多かったため手放すことにしたそうです。家族構成の変化によって、置いおく場所がなくなってしまうものもあると思います。ぜひ一度、こちらの査定フォームこちらの査定フォームよりお問い合わせくださいませ。