買取実績
今回の買取実績紹介は東京都世田谷区のお客様より買取させて頂いた、ドイツ人陶芸家で2012年11月に逝去された故ゲルト・クナッパー氏の作品です。箱と共に引き取りさせて頂いた同封のパンフレットの年代を見ますと、昭和57年(1982年)頃のお品物と思われます。
クナッパー氏の経歴は、1943年に西ドイツ(当時)で生まれ、15歳頃から陶芸研究を始めたとの事です。当初は瀬戸焼の陶芸家・鈴木青々氏について研究し、のちに日本とも関わりが深いイギリス人陶芸家のバーナード・リーチ氏の紹介で、益子焼の陶芸家にして人間国宝の島岡達三氏に弟子入りします。初めの内は「外国人」として色眼鏡で見られていたようですが、魅力的な作品から評価は徐々に高まり、来日2年目の1971年に第1回日本陶芸展にて最優秀作品賞文部大臣賞受賞。以後は国内外を問わず人気の陶芸家として精力的に活動を続けました。
ゲルト・クナッパー氏の作品の魅力は、瀬戸焼や益子焼の枠に囚われない外国人作家ならではの自由さですね。取っ手の上にポツリとついているボタンのような飾りなど、遊び心も見て取れ、楽しい作品です。これはクナッパー氏の作品の特色の一つでもあります。彼の作品の装飾は決して派手ではなく、簡素なものが多いそうです。しかし、簡素ゆえに多彩でバリエーション豊かな装飾性が持ち味です。
取っ手以外の装飾としては、下部は二重ラインで縁取られています。さり気ない飾りですが、一般的にビールジョッキと言いますと、シンプルで飾り気が全くない、取っ手だけついていて凹凸すらないものが多いのを考えると、やはり独創性を感じる作品ですね。
裏を見ますと高台に汚れが見当たりません。テーブルに触れる面の高台は一番汚れやすく、ダメージを受けやすい箇所なのですが、こちらのジョッキは真新しいままですので、おそらく未使用か、それに近い美品と思われます。この様に状態が良いと買取価格にも影響します。もしも高台が汚れてしまったら、メラミンスポンジで優しく拭き取ってみて下さい。ザラザラしたものですと汚れは落ちにくく完全に綺麗にはなりませんが、多少は回復します。ツルツルしたものですと、とても綺麗に汚れが落ちます。お手入れのポイントとしては、「決してゴシゴシ力強く磨かない事」です。傷がつかないよう、撫でるように優しく拭き取って下さい。また、絵柄がある場合は、絵柄をよく確認し、焼きあがった後から絵を描いたものはメラミンスポンジは厳禁です。塗料が落ちてしまいます。先に絵柄を描いて焼き上げた物は塗料落ちはしませんのでメラミンスポンジで汚れが気になる部分を優しく撫でて下さい。
最後に、クナッパー氏は1975年に茨城県久慈郡大子町に居を構え、終の棲家としました。大子町は袋田の滝で有名な町で、地形の関係から夏は暑く、冬は雪が降り、春夏秋冬の移り変わりがはっきりした土地です。奇しくも当社は常陸太田市が所在地ですので、クナッパー氏の「太郎坂屋敷」は車で1時間前後の近隣となります。クナッパー氏ご本人様が2012年に逝去されたのちも、ゲルト・クナッパーギャラリーは運営してらっしゃるとの事ですので、ご興味のある方は是非、足をお運び下さい(ギャラリーにお越しの際は、事前に電話やメールでの予約が必要です)
今回のお客様は焼き物がお好きな方で、ゲルト・クナッパーのビールジョッキの他に、七宝焼の壺や九谷焼のお皿を買取させて頂きました。コレクションが多くなりすぎてご家族に少し処分して欲しいとお願いされてしまったとの事です。コレクション整理などで処分を検討している骨董品や古道具がありましたら、捨てる前に是非一度こちらの査定フォームこちらの査定フォームよりお問い合わせくださいませ。お待ちしております。